「ホッテントットエプロン -スケッチ-」を観たよ!

ずっとずっと観たかった「眠り姫」を、やっと観られたのが去年。
そしてその時に『観たい!』と思いつつも時間を捻出できずに諦めたのが、この作品「ホッテントットエプロン -スケッチ-」でした。
もう機会はないかなー、と思って諦め気味だったところ、今年も1週間だけの限定上映をするという情報が!
…ってわけで行ってきました。

 

 

 

上映館は『アップリンクX』。
Bunkamura や dixee diner をもう少し進んだところにあるサブカル臭満点な場所です。館内も、簡単なスクリーンと一人がけソファが数脚並んでいる、映画館と言うのは迷ってしまうような空間。
ちなみに初日(アンコール上映だけどね。)に観ましたが、観客は私を含め5人程度でしたね…。

 

「眠り姫」では、会話は聞こえるけれど人間の姿はほとんど見せない作品を撮った七里監督。
今作では逆に、人間の姿は見えるけれど会話は聞こえない作品を撮っています。

 

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=rL4DMH4jTpM[/youtube]

 

ストーリーは朧げに分かるだけ。

隠れた場所に醜いアザを持つ少女・里香は、ある日、ねずみ色のフードで顔まで覆った笛吹き男を見かける。笛の音色に引き寄せられるように、彼女の現実は夢想の壁から剥がれ落ち、やがて不思議な世界へ迷い込む……。

ホッテントットエプロン -スケッチ-

「ハーメルンの笛吹き」というか、「不思議の国のアリス」というか。
完全に別世界にしているわけでなく、現実との交錯でノンリニアに綴っていくのが不思議でした。

 

はっきり言って、わけは分からない。
でも、観続けてしまう魔力があって、そういう作品をつくりだせるのは凄い才能だなぁ、と思って観ていました。
アップリンクXという空間の力も大きいのかもしれないけれど、ずっと息を詰めて観てしまう力があります。

 

とにかく映像が素晴らしい。
ボール紙を剥いでいく白ワンピースの主人公の姿や、花瓶で水を飲む姿、無数に垂れ下がる赤い毛糸、青い空間と赤い毛糸のコントラスト、広がっていくザクロの残骸…。
どの画面も美しいスチル写真として成立しそうな映像美。

 

これに絡んでくる音楽も素晴らしかったです。
実は上映前に七里監督が登場して、この作品に関するお話を少しされていたんですけども、この作品、最初の頃は生演奏付きの上映もしていたほど、音楽という要素も重要らしく。
生演奏付きで上映していた…と聞いてクラシカルな音を想像していたら、実際はかなりアブストラクトな雰囲気があって驚きました。サントラがあったら欲しい…と思ったほどに好み。

 

ストーリーというか、内容については『自主制作っぽいなぁ』とか『映画学校の生徒さんが好きそうだなぁ』というのが正直な印象。
個人的には好みの範疇だったものの、観るひとを選ぶだろうなぁ…というのは感じました。
その分、好きなひとは熱狂的にハマるだろうなぁ、とも。

 

ちなみに、新作「To the light(in Progress)」も併映されていました。
こちらは3分程度の作品で、タイトルの通り『まだ製作中(七里監督・談)』なのだとか。
渋谷ヒカリエのために作られたもの(?)らしく、このタイトルのようです。
これも、好きなひとは好きだろうなぁ、という映像美の作品でした。
完成したら改めて観たいところ。

 

上映は18日の金曜日まで。
好みの分かれる作品なので強くはおすすめできないですけども、興味がある方は観ておいたほうがいいと思います。次にいつ上映になるか分からないし、DVD化やBlu-ray化は望めない作品だと思うので。
ただ、ミニシアターでよく見かけるアート性の高い作品に慣れていたり、抵抗がないひとでないと80分の上映時間は辛いかもしれません。

公式サイトのギャラリーの写真が、ことごとくツボすぎて。