少し前に舞台挨拶の模様を書いた この映画。
まだまとまっていない部分はあるものの、本篇の感想も書いておこうと思います。
東京女子流が出ていたから観たような、この作品。
観賞後は、『あ、女子流出てなくても好きだ、この映画。』と思いました。
ただ、女子流が出ていなかったら観ることはなかったと思うので、女子流が出てくれたことはやっぱり感謝かなぁ。
あと、観てもらえれば分かるんですけど、いわゆる『アイドル映画』や『青春映画』という字面から想起されるようなものから大きく離れたところにある作品です。
そういう作品が女子流の女優デビューの最初の作品になったことは嬉しいなぁ、と思います。
女子流には女優業をしてほしくないなー、という思いがあって、それって黒歴史になってきたアイドル映画をいくつも観てきてるからなんですよね…。だから、今後、黒歴史になるような映画に出ることはあるかもしれないけれど、ひとまずはデビュー作がこんなに傑作だった、ということに安堵。そして山戸監督に感謝。
ネタばれを避けるため、物語に深く触れることはしないでおきます。
ざっくり書くと、女子校の学園祭の目玉となるミスコンを巡っての、5人の女子高生の心の揺れ動きを描いた作品、ですかねー。
こう書くと、なんでもない作品のように思えます。
でも全然なんでもなくないんです。
うまく言語化できないんだけど、ものすごく感情を揺さぶられる作品なんです。
舌を噛みそうな哲学的な言い回しが多いのに、どうしてか、そう言っている彼女たちの気持ちまで分かってしまうし、伝わってきてしまう。
正直に言うと、女子流メンバーはそこまで演技が上手いわけじゃないんですよ。(宇佐美役のめいてぃん以外は。)それなのに、どうしてあんな感情の芯の部分まで映し出せるのかなぁ…と、ものすごく不思議な気持ちになりました。
好きな女子流メンバーは『都』役のあぁちゃんなんですが、印象に残ったという点でいえば『さく』役のみゆちゃんかなぁ。
今はどこのアイドル現場に行っても割と知っているひととはしゃげたりする私ですが、キャラを変えるまではものすごく内向的で周りと関わることを避け、本に没頭していたのです。そういう自分を『さく』に重ねていたりしました。
『さく』のハイライトは学園祭のシーンだと思うし、実際そのシーンもすごく良かったんですが、個人的にいちばん反応してしまったのは学園祭前夜のシーンですね。ネタばれになるのでこれ以上は言えないんですけど、突如としてあのひとをああいう風に映し出した、っていうのはすごいと思いました。女性監督だなぁ、と。これはすごく分かるなぁ、と。
あとはやっぱり『都(あぁちゃん)』と『宇佐美(めいてぃん)』の夜のシーンも特筆すべきかなぁ、と思いましたね。
先述の通り、ものすごく演技力のあるめいてぃん。そして、ファンの贔屓目かもしれませんが、そんなめいてぃんと互角の演技力(というか、監督も話しているけれど『顔力』)を持つあぁちゃんとが、痛いくらいのやりとりを、静かに、でも激しく展開していくこのシーンには息苦しくなりました。
まぁしかしですね。
いろんなこと書いても、私のボキャブラリーでは伝えきれないです、この作品の凄さは。
だから、予告をみて、何か感じるものがあるひとは、もう映画館に行ってください。渋谷のシネマライズでやってますので。はい。
[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=cjkW7mBnO1Y[/youtube]
余談。
「Switch」のインタビューで、山戸監督が『原点になった作品』として挙げていたのが「リリイ・シュシュのすべて」でした。「5つ数えれば君の夢」を観終えた後、ものすごく納得しましたね。
そして、このインタビューでは「花とアリス」も挙げられているわけですが、これにもものすごく納得できるシーンがあります。
だから、このあたりの岩井作品が好きなひとは、とりあえず観ておいたほうがいいと思います。
もひとつ余談。
この、なんだか分からないけど感情が揺さぶられるかんじ、つい最近経験してるなー、と思ったら さわひらきさんの展覧会 で、ですね。
ここでテーマになっていたのは『領域』でした。
この『領域』って、「5つ数えれば君の夢」でも『都』と『宇佐美』の関係性においてキーになっていたな、と思いました。だからどうした、って話なんですが。
うーん、ぜんぜんまとまらない。
まとまらないけど、とりあえず現時点の私の頭でかける感想はこの程度なので、アップしてしまおうと思います。
たぶん考察しようと思えばいくらでも考察できる作品だと思うんですよ。ものすごく深い。
しかし今の私にはこれが限界です。
とりあえずもう一度観ないと、ここから進めない気がします。
まとまらないついでに書くと、この映画のエンドクレジットは多幸感が素晴らしいです。
本篇では感情がざわついたとはいえ泣くまでには至らなかったんですが、エンドクレジットで主題歌をバックにはしゃぎまわる女子流の姿をみていたら涙が出てきました。
ここだけでも映画料金ぶんの価値はあると感じましたね。
なんといっても、映画を観てから3日経ってもエンドクレジットでの多幸感がまだ鮮やかに心の中に残っていたりするわけですから。