ストイックで緻密な音 meets 二面性のある声

何度か書いてますけど、JEMAPUR というアーティストが好きです。
もう、10年近く前にHydeout Productions(Nujabesが主宰していたレーベルですね)から、弱冠19歳にしてCDをリリースした時から、ずっとずっと魅了され続けていて、好きなアーティストです。

ただ、知名度があるアーティストとは言えないし、実際、最新情報とかリリース情報とか全くつかめてなくて、『気がついたら新譜が出てた!』なんてこともしょっちゅう。
そんなJEMAPURが、1年くらい前にYukiというボーカルと組んで「Young Juvenile Youth」というユニットを作っていたのはかろうじて知っていたものの、最初に出したのはアナログだったので、再生環境がない私はスルーをしていたのです。
そしたら、3ヵ月くらい前にCDリリースしてました!
リリース時にはイベントもあったらしいので、ノーマークを決め込んでいたのは完全に失敗でした…。

前置きが長くなりましたが、今日はそのCDのおはなしです。

Young Juvenile Youth

まぁ、まずはこちらのMVをご覧ください。

このMVの世界観や、楽曲が好みの方だけエントリを読み進めてください!

くり返しになりますが、このYoung Juvenile Youthというユニットは、エレクトロニックミュージシャンであるJEMAPURと、バンド経験を持つYukiとのユニットです。
結成の経緯はナタリーさんで読めました。 興味がある方はどうぞ。
この記事によれば、不思議なユニット名は

最初はYukiの“Y”と、JEMAPURの“J”でYJっていうプロジェクト名だったんですが最後にYを付けることにしました。

“YJY”って目をつぶっている人に見えるでしょ。それがかわいくて。で、それぞれに言葉を当てていきました。「Young」「Juvenile」 「Youth」って全部同じような意味なんです。3つとも若さとか未熟さとかみたいな意味なんだけど、単語としては違うっていうのがいいなと思ったのでこ の名前にしました。同じ意味に違う表現方法がある、みたいな感じとか。

という由来があるそう。

さて、前置きにて『アナログでリリースされていたから、このユニットをスルーしていた』と書きました。
でも実はもうひとつ、スルーしていた理由がありまして。
それはなにかというと、単純に不安だったんですよ。
いま、自分にとって完璧な音世界をつくってくれるJEMAPUR。そんなJEMAPURの音世界が、ボーカルが乗ってしまうことで壊されることが不安で嫌だったんです。
だからアナログリリース時にチェックはしたけど、正直、そこまで深くは聴かなくて。一過性のユニットだと思ったのもあり、今回スルーすればもう作品は出ないんじゃないかな、的な気持ちで。

私の思惑は見事にはずれ、今こうしてYoung Juvenile Youthの初のCD作品となる「Animation」が手元にあるわけですが、それを聴いてみて思ったのは

『ボーカルが乗ってもJEMAPURの音世界は健在しているし、むしろ、このボーカルが乗ることで良い化学反応が起きているのでは』

ということでした。
やはり食わず嫌いは良くない。(ちょっと味見してたけどね!)

この作品でもJEMAPURのストイックで緻密な音世界は健在だなぁ、と。
ここ数年のソロ作品と比べるとポップというか、分かりやすい音を展開してくれてるかな?というかんじはするかもしれないです。
「Seed」っていう曲はメロディアスで耳にすーっと入ってくる仕上がりになっていたりしますし。
ただ、全体的に、使っている音や配置の仕方は『JEMAPURだー!』って思えるほどにJEMAPUR。

で、Yukiのボーカル。
成熟して聴こえたり、無垢に聴こえたり。つややかに聴こえたり、ドライに聴こえたり。感情豊かに聴こえたり、無感情に聴こえたり。
不思議なボーカルだなぁ、って思います。色があるようで色がない…でもやっぱり色がある?みたいな。
電子音楽になじみつつ、主張しつつ…って二面性もあるのかな。
JEMAPURの音と見事にマッチしていると感じました。
あと、MVを見て思ったんですけど、前面に出てくるひととして重要な『雰囲気』っていうのがあるなぁ、と。水カンのコムアイさんみたいな。

結論としては

『Young juvenile Youth、めっちゃ好みでした…』

ですかね…。

ちなみにこのCD、浅野忠信さんや真鍋大度さんがコメントを寄せていたり します。
JEMAPUR、意外なところで知名度あったんだな…。

「音と歌の追いかけっこを聞いているようでとても面白くその中で新たな発見をしながら曲ができていっているような深いやり取りを聞かせてもらった気がします!今後何が産まれるのかとても興味深いです」
― 浅野忠信

「JEMAPURの手がける歌モノ楽しみにしていました。ボーカルが加わることでポップになるかと思っていたのですが新たな波形を手に入れることで次のステージへ。誠実に野心的な音楽を作り続けていて気が引き締まる思いです」
― 真鍋大度(Rhizomatiks)

収録曲は6曲で30分弱。なお、「Animation」分だけ歌詞カード付いてます。

  1. Animation
  2. More For Me, More For You
  3. Fahrenheit
  4. Daydream
  5. Optique
  6. Seed

え、このCDって数量限定なの…?(知らなかった)