私、ぶっちゃけ園子温監督に入れ込んでいたりだとか、めちゃめちゃ好きだとかの気持ちっていうのは、ありません。
でも、ワタリウム美術館で開催中の「ひそひそ星」の展示は、なんというか、『行かなきゃ！』という衝動に駆られたので、その気持ちが冷めないうちにさくっと行ってきました。
結果、行って良かった。
まずはこの展示についての説明から。
「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」「地獄でなぜ悪い」となどの代表作がある園子温監督。
（個人的にはいちばん有名なのは、いまや実力派女優としての地位を確立した満島ひかり、AAAで活躍していた西島隆弘を起用した2006年の作品「愛のむきだし」だと思います）
園監督の新作「ひそひそ星」が5月14日から上映開始。
これに合わせて、この映画では描ききれなかったものをインスタレーションにしたものを含めた個展が、今回の「園子温 展 ひそひそ星」になります。
久々に行ったよ、ワタリウム美術館。
外苑前だということすら忘れていたくらい久々に行ったよ。
それほど広さがある美術館ではないし（それくらいは覚えていた）どうなんだろうなー、という気持ちで行きましたが、観終わってみたら『あー、これはワタリウム美術館っていうのはナイスチョイスだったかもなー。雰囲気がしっくりきたなー』と思いました。
規模的にも合っていたし、派手すぎず、なんとなく静謐な雰囲気が漂うあたりが良かったな、と。
壁一杯に、赤地に白文字で詩が書かれた展示があったんですが、これなんかは展示場所がもっと狭くても、あるいは広くても『うーん…』って感じたと思うんです。
ワタリウム美術館の規模感が本当にジャストだったな、と。
展示は3フロアに分かれており、そのぞれのフロアに一つの展示という構成。
フライヤーにも使用されているインスタレーションは、順路しょっぱなの2階に展示されています。
2階に足を踏み入れた瞬間、私、思わず『うわぁ…』って声が出ましたからね。
影絵の世界。しかも昭和な雰囲気の漂うノスタルジックな。
懐かしくて楽しい、でも怖さも併せ持つ空間でした。
影絵は吹き抜けの部分にまで展開されていて、これは圧巻。
3階は先述の、赤地に白文字で詩が書かれた展示。
その手前にはハチ公。
なぜハチ公がいるのかは、詩を読み進めれば理解できます。
4階は映画「ひそひそ星」を編集した映像が流れる空間。
映像を見る前は『映画は14日から公開か〜。観られたらいいな〜』程度に思っていましたが、映像を見終わった後には『どうにかして…どうにかして時間を都合して映画も観に行かなくては…！』という気持ちになりました。
白黒の映像も、言葉数の少なさも、昭和風のセットも、どの要素も映画への期待を高めてくれるものだったので。
ちなみにこの「ひそひそ星」、企画？自体は25年前にあったものらしいです。それが頓挫し…でも2014年にまた動き出し…といった経緯があるっぽい。
で、4階の壁面は、この25年前に描かれた絵コンテ（550枚に及ぶとのこと）によって埋め尽くされています。
これは園監督に興味があるひとのみならず、映像作品を撮りたいと思っているようなひとも一見の価値はあるのでは、と思います。
ずーっと見てられるもん、この絵コンテ。
それから、4階には「愛のむきだし」や「恋の罪」なんかの監督使用の台本も置いてあって、まぁこれは触れたりはできなかったんですが（当たり前か…）表紙だけでもいろいろなことが書き込まれていて、しかもボロボロになっていて、すごく興味深かったです。
役者ならともかく、監督が使用する台本っていうのもこれだけボロボロになるのね、と驚きました。
以上がこの展示の感想。
いやー、楽しかったです。（楽しかった、っていうのとは別の感情な気もするけど）（…でも的確な語彙が思いつかない）
『GWだし…園子温監督の個展だし…』と混雑を予想していましたが、そんなこともなく、どの展示もめちゃ快適に観ることができました。
いや、正直なところ、ひとが居なさすぎてむしろ心配になる…。いい展示だと思うんだけどな…。
料金は大人1000円。
ただ、1500円で会期中は何度でも入場可能になるパスポートチケットに格上げできるので、こっちにしておけば良かったかなーという気もしました。見終わった後に。
映画を観るつもりがあるひとにはパスポートの購入を強くおすすめしたいです…。（じぶんが失敗したから…）
最後に、映画の予告を置いておきますね。
この雰囲気、すごく良いと思いません？
[youtube]https://www.youtube.com/watch?v=VFLWXRNwLSU[/youtube]