なんだかとっても気力を消耗した展示だったのです

リトグラフという手法をご存知でしょうか。
私は名前だけ聞いたことがある気がしていて、でも、それが手法を指すことだということすら知らなかったんですが。(だめじゃん)

 

まぁ、そんなリトグラフの展示を観てきました、っていう話です。

 

君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだ

 

 

リトグラフの説明については、ムサビさんのページ から引用します。
引用した部分以外も詳細な説明があるので、気になる方はリンク先に飛んでみてください。

リトグラフの基本的な刷りの工程は、石版石または金属板の上に、リトクレヨンや解墨などの油脂分が多い描画材で描画し、その後、版全面の化学的な製版処理 により、描画した部分は水を弾いて油分を引き付ける親油性となり、描画していない部分は水で濡らした時に湿った状態を保つ親水性(保水性)となります。こ の相反する性質部分を持つ版面にローラーで油性インクを盛ると、親水性の部分ではインクが弾かれ付着せず、親油性の部分のみにインクは盛られます。このよ うにしてインクが盛られた版の上に紙を乗せて、プレス機で圧力をかけることで転写します。

こんな手法です。

 

そんなリトグラフの作品を集めた 「君が叫んだその場所こそがほんとの世界の真ん中なのだ」 という展示を観てきました。
場所は、東京駅の丸の内北口(ジュンク堂のあるOAZOに近い方ね)に入口がある 東京ステーションギャラリー です。
ちなみにこの展示、英語だと “Listen, I’ll tell you truth … The actual center of the world is where you are creating something unique.” らしいです。
かっこいい!!!

 

これ、やなぎみわさんやデヴィッド・リンチが参加していることでも興味を引かれたんですが、原田マハさんの最新刊の内容と連動している…という仕掛けにもグッときたので観に行くことにしました。
その小説は未読なんですけどね…。なんせ展示が2月7日までなので、読了するのを待ったら展示観れないよね、って思ったんですよね。
ちなみにその小説はこれです。

[amazonjs asin=”4093864233″ locale=”JP” title=”ロマンシエ”]

 

 

展示を観た感想としては、ぶっちゃけ、タイトルの通りです。
それほどボリュームがあったわけではないのに、ものすごく疲れましたね…。
理由はふたつあったと思っています。
ひとつめは、リトグラフの手法上なのか、くっきりはっきりした線の作品が多かったこと。
繊細な線のものもあったんですけど、大半は圧倒されるようなものでした。
そしてふたつめは、これもリトグラフの手法上なのか、ひとつの作品の中の『黒』の割合がとても高かったこと。
使われている色が白と黒だけ、っていう作品も多かったのです。(デヴィッド・リンチなんかは出品作が多かったけど、すべて白黒でした)
観賞後に疲れてしまった自分に気づいて、線が細くて淡い色で構成された作品が好きで、観ていると落ち着くんだろうな…と改めて思った次第です…。

 

ただ、『じゃあつまらなかったのか?』って言われると、そういうわけでもなく。
まったく知らなかった手法について知ることができたのは、やっぱり、単純に興味深かったし面白かったです。
製作工程中の動画も見ることができて、『リトグラフっていう手法を使って製作をしてみたい!』ってアーティストが思う気持ちも分かるような気がしたし、それによって作られるものが、前述のように線がはっきりした作品になるのも理解できましたし。
疲れたー、と思いつつも満足感は高かったです。

 

 

やなぎみわさんの作品がいちばんの目的だったものの、実際にいちばん観ていたのはデヴィッド・リンチの作品だったかなぁ…。
単純に作品数が多かった(15作品以上!)だけじゃなく、『分かりにくいようで意外と分かりやすかった』のも私には嬉しかったな、と。
「お前を連れて帰る」「抱きしめる」「ザムトグ理論実験」が好みでした。
特に「抱きしめる」は結構な時間、眺めていたと思います。『ロマンチックなタイトルだけど、実際はロマンチックなひとときではないよなぁ…』なんて思いながら。男性の吹き出しに描かれた『MINE』の文字もなんだか切ない。
あとは、ジャン=ミシェル・アルベロラ作品の色使いが好みでした。特に、タイポグラフィ作品の「出口は内側にある」。
それから、展示について調べていた時には見落としていた、森山大道さんの作品も良かったです。
タイツシリーズ がリトグラフになっていて、これ、『実は今回の展示の中でいちばんリトグラフで製作される作品の魅力を伝えていたのでは?』と思ったりしました。

 

 

実は初めてだった東京ステーションギャラリー。
展示フロアの雰囲気(特に2階!)も良かったし、ミュージアムショップも可愛いものだらけだったしで、『また面白そうな展示があったら来たいな〜〜〜』と感じさせてくれました。
今回の展示でも作品数は130以上あったみたいだし、その中身も濃かったから、今後の展示も期待できそう。(突然の上から目線)
時間がないままバタバタと展示だけを見た今回だったけど、次回また訪れる時には、ギャラリーの余韻を反芻しつつお茶でも飲みたいな!飲むぞ!!!

 

 

[adsense]